オカエリ就活

オカエリ就活事務局 

神大生・岡大生が考える「地域就活」

time2022/03/18 UPDATED

テレワークや地元就職など、コロナ禍で人々の「働き方」はこれまでになく変化しました。そんな時代の流れの中で、大学生の「就職」に対する考え方はどう変化しているのでしょうか。神戸大学のキャンパスを訪れ、地域就活プロジェクトに取り組む神戸大学と岡山大学のみなさんに話を聞きました。

「暮らしからキャリアをデザインする」時代へ

神大生と岡大生による地域就活プロジェクトは、神戸大学社会科学系同窓会 凌霜会(りょうそうかい)の寄付授業で開講されたキャリアデザインの授業をきっかけに2021年秋にスタートしました。地域就活に興味を持つ学生たちが大学の枠を超えて、地域での暮らしや地域企業の魅力を研究、発信しています。今回は、神戸大学法学部2年の本間恵里香さん、砂子瑛祐さん、田代浩也さん、岡山大学経済学部2年の橋爪美弥さん(Zoomで参加)の4人のメンバーで座談会を行いました。

ファシリテーターは、神戸大学OBで、現在、神戸大学のキャリアデザインの授業を担当している株式会社Wの廣岡大亮さんにお願いしました。「コロナ禍の影響もあり、住み慣れた地元や大学の4年間を過ごした地域で働きたいという学生が増えています」と廣岡さん。「仕事や会社によって住む場所が決まる時代」から「好きなまちでの暮らしからキャリアをデザインする時代」に変化していると言います。


神戸が好きだから、卒業後も神戸で働きたい

本間恵里香さんは神奈川県出身です。中学時代は東京、高校は島根県とさまざまな地域で暮らしてきましたが、大学で神戸の住みやすさに感動し、卒業後も神戸で就職したいと考えています。


本間:神戸の街のおしゃれな雰囲気、徒歩で生活できる便利な環境、ほどよくゆっくり流れる時間、すべてが心地よくて。大学生活はコロナと共に始まりましたが、都会と違って人が多くないのでひとりで外を散歩したり、マイペースで生活することができました。大学を卒業してもこのまま神戸で暮らしたいと思ったのが、地域就活に興味を持ったきっかけです。1年生のキャリアの授業では「卒業したら地元に戻って就職したい」という人が8割もいました。地方での就職を希望する大学生は実は多いのに、地域の中小企業の情報が得られないために就職の選択肢に入りにくいという現状があると思います。私は今年3年生になりますが、自分の就職活動のためにも、地域の中小企業のことを大学生に向けて大学生目線で届けるような活動ができればと思っています。


地元の未来のために、三重県で暮らし働きたい

砂子瑛祐さんは三重県出身です。過疎化が進む地域で育ったことから、幼い頃から「自分の生まれた地域は将来どうなるんだろう」と問題意識を持っていたと言います。


砂子:保育園の時、自分の保育園が近隣の保育園と統合されることになって、スコップなどの遊具をみんなで洗って新しい保育園に持って行ったことを覚えています。小学校も在校生は20人ほどで、「これから自分の生まれた地域はどうなっていくのだろう。でも、こういったことは日本全国どこにでもあることなのではないか」と子どもながらに地方の過疎化や少子化問題を肌で感じながら暮らしてきました。大学で神戸に来ましたが、私はやはり生まれた場所が好きですし、卒業後は地元の三重県で就職できればそれが理想です。地元にも探せば魅力ある企業はたくさんあるはずなので、地方の中小企業の魅力を大学生が知ることができるような仕組みができればと思います。地方は若者の人口流出が大きな課題となっていますが、中小企業は「新卒採用は難しい」と諦めているようにも思います。「地元で働きたいと考える若者」と「新卒採用は難しいと思い込んでいる中小企業」との認識の違いを埋めることから、地域活性につなげることができるのではないかと考えています。


岡山の企業も、将来の就職先として選択肢に

岡山大学の橋爪美弥さんは神戸市出身。卒業後の就職は地元の神戸か東京の2択で考えていましたが、大学の授業で岡山の中小企業について学んだことから「岡山の企業に就職する」という第3の選択肢が生まれたそうです。


橋爪:大学のキャリアの授業に何回か岡山の中小企業の人が講師として来てくださって、「企業が取り組むSDGs」などいろんなテーマで講義をしてくださったんです。その授業を通して岡山には面白い企業がたくさんあるということを知りました。それまでは、卒業したら神戸に帰るか東京で就職するかのどちらかだと思っていましたが、今では卒業後はこのまま「岡山で就職する」ということも選択肢に入れています。私は地元の神戸も好きなので、「神戸にも魅力ある中小企業がたくさんあるのでは」と思っていたところに、神戸大学のみなさんが地域就活の活動をされていると聞いて、プロジェクトに参加させてもらいました。

地域就活においては「知ること」が大切だと思います。就活の会社説明会とは違う形で地域の中小企業を知る機会を作っていきたいです。私が岡山の企業を知って将来の選択肢が増えたように、多くの大学生に地域企業の魅力を伝えて人生の選択肢を広げてもらえたらと思います。


地域就職の魅力を伝えるイベントを企画中

神戸大学法学部2年の田代浩也さんは奈良県出身です。地元の奈良が好きで、できれば卒業後も地元で働きたいと考えているそうです。


田代:私が地域就活に興味を持ったのは、少しみんなとは違う理由かもしれません。私は応援団に所属しているのですが、毎年新入部員の勧誘に苦戦しています。応援団は古い体制で厳しいというイメージがあるようで、今の時代にあった体制に変えて活動の魅力や楽しさを新入生に伝える努力をしているのですが、なかなか伝わりにくいんです。これは中小企業の人材採用とよく似たテーマだと思います。地域就活プロジェクトでは、就活イベントの企画や集客を通して学べることが多いのではないかと思って参加しました。

今、企画しているのは、企業や仕事の情報だけでなく、その地域の住環境や子育てなど「暮らし」から「働き方」までをイメージできるようなオンライン就活イベントです。まずひとつの地域で形にして、その後は定期イベントとして全国各地で展開していければ、大学生がどこにいても自分の地元や大学のある地域での地域就活がスムーズにできる仕組みになるのではないかと思っています。


大学生の力で、地域就活のあり方を変える

「学生たちは、自分の気に入った場所で働くために、地域企業の情報を必要としています」と、講師の廣岡さん。

地域企業にとって人材採用は大きな課題となっていますが、大学生たちもまた’自分らしい人生の選択’をするために、地域企業の情報がないと困るというのが現状です。学生たちが欲しいのは、資本金や売上高などの企業情報ではなく、よりリアルなものです。それは就職サイトや企業説明会のパワーポイントでは伝えられないことかもしれません。地域就活プロジェクトでは、大学生自身が知りたい情報を大学生に届けるところまでをデザインすることが大切だと思っています。大学生たちの手で大学生の地域就活のあり方を変えていけるのか、大いに期待しています」。


地方就活企画の企画実行は、同窓会のOBOGがサポートしていく予定とのこと。神戸大学のプロジェクトは、大学における卒業生と在校生の協働のカタチとしても目が離せません。


記事一覧へ戻る

CATEGORY

ご掲載希望の企業様へ
ご掲載希望の企業様へ